2024年3月15日金曜日

『誘惑する他者』序文(の一部)公開

 出版社のnoteで、『誘惑する他者』の序文が一部公開されました。手に取るかどうか迷っている方はぜひこちらを参照していただければ。

https://note.com/hup/n/nd33fd7adc974

2024年3月1日金曜日

本が出来上がりました

 ようやく本が出来上がり、手元に届きました。表紙の紙質やデザインなど、編集者の方には私の希望を反映してもらいました。非常に気に入っています。




前回の本を出した時は、アメリカの出版社ということで編集者の方とは一度も会わないまま本を出すことになったのですが、今回は何度か編集者の方と対面で打ち合わせをしながら、一緒に本作りをしていきました。それが普通なのでしょうが、初めてだったので新鮮でした。

これで日米の大学出版局から本を出したことになるわけですが、日米の出版文化の違いなど、色々と気づく点がありました。おいおい、このブログでそういった点についても書いていければと思います。

2024年2月15日木曜日

書影と目次公開

近刊のメルヴィル単著に関して、出版社から詳細情報が公開されました:https://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-49522-9.html

内容紹介

『白鯨』『ビリー・バッド』「バートルビー」をはじめ、安易な解釈を許さない数々の問題作で知られる19世紀米国の大作家メルヴィル。その主要作品群を精読し、誘惑すると同時に理解を拒絶する他者、配達不能郵便(デッドレター)のモチーフ、孤独や共同体や帝国主義的暴力の問題など、書くこと/読むことの根源に関わるテーマを徹底的に掘り下げる。読解への最高の手引きとなる一冊、ここに誕生!

著者プロフィール

古井 義昭(フルイ ヨシアキ)

1982年生まれ。エモリー大学英文科博士課程修了(Ph.D.)。現在、立教大学文学部教授。専門は19世紀アメリカ文学。単著にModernizing Solitude: The Networked Individual in Nineteenth-Century American Literature(University of Alabama Press, 2019年/日本アメリカ文学会賞・アメリカ学会清水博賞)、共著に『脱領域・脱構築・脱半球──二一世紀人文学のために』(小鳥遊書房、2022年)、『モンロードクトリンの半球分割──トランスナショナル時代の地政学』(彩流社、2016年)などがある。

目次

序 章

第一部 他者を求める──孤独な水夫たち

 第一章 『白鯨』における寂しい個人主義

 第二章 『イズラエル・ポッター』における倫理的寂しさ

 第三章 痕跡を書き残す──『ジョン・マーと水夫たち』 における孤独の共同体

第二部 他者を見つける──不気味な自己像

 第四章 他者を貫く──『タイピー』における個人と共同体

 第五章 「誰も自分の父たりえない」──『ピエール』におけるデッドレターと血縁

第三部 他者を取り込む──帝国的欲望

 第六章 時間の暴力に抗う──「エンカンタダス」における不確かな未来

 第七章 差異を超える──「ベニト・セレノ」における認識の詩学

第四部 他者を覗く──沈黙の裂け目

 第八章 秘密の感情──『信用詐欺師』における障害と公共空間

 第九章 バートルビーの机──情動理論とメルヴィル文学

 第十章 ビリーを撃つ──媒介される内面


あとがき
引用文献

索引

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ちょうど先日、校了したところで、著者としては出版を待つだけの状態です。早く手に取りたいです。

書店に並び始めるのは3月8日ころの予定ですが、日頃お世話になっている方々には三月頭ころに献本差し上げる予定です。

2024年2月9日金曜日

単著が出版されます

三月上旬ころに、私にとっての二冊目の単著が出版されます。書誌情報は以下のとおり:

古井義昭『誘惑する他者:メルヴィル文学の倫理』(法政大学出版局、2024年)

ちょうど出版社のHPにも情報が出ました:https://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-49522-9.html

出版社による宣伝文も以下に引用します:

『白鯨』『ビリー・バッド』『バートルビー』をはじめ、安易な解釈を許さない数々の問題作で知られる19世紀米国の大作家メルヴィル。その主要作品群を精読し、誘惑すると同時に理解を拒絶する他者、配達不能郵便(デッドレター)のモチーフ、孤独や共同体や帝国主義的暴力の問題など、書くこと/読むことの根源に関わるテーマを徹底的に掘り下げる。読解への最高の手引きとなる一冊、ここに誕生!

ちょうど校了したところで、あとは装丁を決めるだけというところまで来ています。本書については色々と思い入れもあるので、このブログで書いていこうと思います。

宣伝のためにTwitterも久しぶりにやってみようかと思いましたが、面倒くさそうなのでやめておきます。SNSをやっている人は私の代わりにどうか宣伝してください。

2023年12月31日日曜日

2023年の仕事

備忘録を兼ねて今年の振り返りをします。

今年はなにより、サバティカル中にメルヴィルに関する和文単著の出版が決まったことが大きかったです。来年の二月〜三月ころに出版予定で、すでに初校ゲラを出版社に返したところです。詳細が決まったらこちらでも告知します。

査読論文投稿も頑張っているのですが、現在のところ未公刊の論文が2本あるものの、いずれもリジェクトされてしまいました。そのうち一本はmajor revisionを要求されているので、頑張って改稿に応じるか、別のところに投稿しようか検討中です。何年研究していても、一本の論文を出すというのは大変だなとしみじみ思います。

というわけで、今年は何も活字として出版されたものはありませんでした。今年の活動を以下にまとめます:

口頭発表
*"Networked Solitude in American Literature & Culture." Fulbright Outreach Lecturing Fund, Huston Christian University, 2023年4月5日(招待講演)

*"Asylum America: Exclusion of Others in Crèvecoeur and Brockden Brown." The Thirteenth Biennial Conference of the Society of Early Americanists, University of Maryland, 2023年6月9日

イベント企画・司会
*“Transpacific Perspectives on Nineteenth-Century American Literature.” Ki Yoon Jang, Paul Hurh, Yumiko Koizumi, 2023年2月19日(Zoom)

*"Seven-Day Rhythms and the Concept of the Everyday in U.S. History." David M. Henkin, 2023年12月20日(立教大学)

以上です。現在決まっている仕事としては、共著二つ、海外の共著一つがあります。依頼していただける仕事も大事ですが、やはり自分の意志で書き、匿名で実力のみが試される査読論文というものを重視することに変わりありません。英語と日本語、依頼仕事と投稿論文など、さまざまなバランスを考えながら仕事していきたいと思います。

2023年12月3日日曜日

講演会のお知らせ

David M. Henkin氏 公開講演会

19世紀アメリカ史研究者のDavid M. Henkin氏(UC Berkeley)を立教大学にお招きして、公開講演会を開催いたします。事前登録不要、参加費無料で、どなたもご参加いただけます。

【講演タイトル】 Seven-Day Rhythms and the Concept of the Everyday in U.S. History (七日のリズムとアメリカ史における「日常」の概念) 

【概要】 「週」という自然世界と無関係な時間サイクルは、20世紀になって時間のグローバルな基準となった。しかし、七日で時間を区切るという習慣は実のところ古来から存在しており、さまざまな社会でそれぞれに独自の役割を担ってきた。本講演は、19 世紀アメリカにおいて「週」という概念がどのような役割を果たしたのかを検討し、さらには現代の我々が日常を表現するためにこの時間的単位を使用することの意味についても考察する。使用言語は英語 (通訳なし)。 

【日時】 2023年12月20日(水)17:20~18:50 

【会場】立教大学池袋キャンパス本館1203教室 主催:立教大学文学部文学科英米文学専修 後援:立教大学アメリカ研究所 

*お問い合わせは古井義昭「yfuruiアットマーク rikkyo.ac.jp」まで。 

*講演会終了後、講師を囲んで立食レセプションを行います(50名先着順・無料)。参加ご希望の方は、こちらからお申し込みください: https://forms.gle/LGJSKUpYT69wtxfC7




2023年9月15日金曜日

サバティカル終了

 一年のサバティカルを終えて日本に戻ってきました。久しぶりに大学の研究室に行ってみると、たくさんの郵便物が届いており、この間、お返事・お礼ができなかった方には申し訳ありません。

サバティカル最大の課題はなんといってもメルヴィルに関する日本語単著を完成させることでしたが、こちらは無事に書き終え、出版社も決めることができました。来年に出版予定です。

もう一つの課題として、アメリカの主要ジャーナルに論文を掲載するというものがあったのですが、こちらはまだうまくいっていません。ただ、自分の中で新しいことにチャレンジをしているという手応えはあります。簡単に自分の論文のスタイルは変わらないもので、自己改造は道半ばという感じです。

やろうと思えば、これまで出してきたような論文を今後も出し続けることはできるのだと思いますが、ここで結果を焦ると成長がなくて自分自身がつまらないので、力を溜める時期と思って当分頑張ろうと思います。

『誘惑する他者』序文(の一部)公開

 出版社のnoteで、『誘惑する他者』の序文が一部公開されました。手に取るかどうか迷っている方はぜひこちらを参照していただければ。 https://note.com/hup/n/nd33fd7adc974